なぜSNSを始めたか

日記ではなく、ちょっとブログっぽい記事もたまには書きます。昔から思っているのですが、言葉にすると考えてることがその言葉の枠にハマってしまう感じがして、なかなか無目的な文章を外向きに書くのは得意ではありません。まぁでもそろそろ向き合う時期かとふと思ったので、練習だと思って投稿してみます。


1週間ほど前から、SNSに気を使い始めました。Facebookページを作り、錆びついていたインスタグラムのアカウントを復活させ、ホームページを作り直し、YouTubeチャンネルとともにそれらを連動させて、毎日向き合ってみています。今のところ嫌な感じはしていないので、このまま自分で自分をマネジメントできるといいのですが!


ネットで発言を始めた一番の要因は、おそらく無所属になったことだと思います。考えてみれば3歳くらいで青い鳥幼稚園に通い始めてから😂今まで、常に何かしらの組織に属していました。3月末にベルリン芸術大学を修了して無職になり、次はどこに縁があるか色々リサーチしたり応募したりすることが日課になっています。1ヶ月ほど無所属で過ごす間に歌の世界で働くヨーロッパの同僚の経歴を見たり聞いたりした結果分かったことは、仮にどこかに所属したとしても結局突き詰めるとそれは関係なく、自分という軸を中心に色んな仕事をして生活を構成していくものなのだということです。どこかに専属契約したとしても安泰なのはせいぜい2年ほどで、その専属歌手たちも更に続く契約や仕事を探すものです。また、所属関係なく、初対面の指揮者や演出家と仕事をする可能性があるときには常にオーディションがあり、なかったとしても初回稽古はオーディションのようなものです。そのように、つまるところ安泰なモラトリアムは存在せず、常に自分を表現することにアクティブである分野です。その自分自身という軸を明確にして、応援してくださるファンの皆さんに一緒に着いてきてもらうことが第一の目的であると思います。


2つ目は、これまでSNS投稿をためらっていた理由ですが、音楽業界にいると、どうしてもチラシとともに宣伝をする投稿を見ることが多く、それにずっと違和感がありました。なぜなのか今ようやく分かったのですが、それは、いうなれば会社員の人が今日は新規契約を20件も取りました!と投稿したり、弊社の新しい商品です!ぜひ試してください!という内容の記事を書くこととなんら変わりないからです。その芸術家の公私混同がどうもおかしい、とドイツで職業音楽家を見ていてようやく言葉になりました。自分の人脈で満席にしても、それは開かれた、公衆のための文化活動とは言えません。面識のない一般の方が自由に聞きに来る、それだけの魅力、求心力を持つことが必要だと思います。それに友人や知り合いに金銭を介した付き合いを迫るのは、職業としての音楽家の価値を下げることに繋がります。なので自分のSNSは、移行期間が終われば、ファンの皆さんとこれからファンになる人向けに動かしていこうと思っています。友達や知り合い向けの宣伝はインスタグラムなどではシステム的には避けられませんが、フェイスブックはページを作り分けることにしました。これによって仕事がプライベートを侵食することが減ることを狙っています。


そして、プライベートは聖域で守られるものだということも非常に重要です。終わりがないことが芸術の素晴らしいところですが、それに自分の全てを捧げると、アドリアーナ・ルクヴルールのアリアではないですが、いわゆる芸術の下僕になってしまいます。求道者的な姿勢は一つの完成された形だと思いますが、それは僕の求める理想の姿ではなく、もっと人間的で温かく優しい人生を当然送りたいと願っています。多様な芸術家が集まるベルリンでは、色んな生き方をしている人がいます。その人々の生活や、ドイツという国の、芸術家を尊重する姿勢などを学んで出した結論でもあります。プライベートと仕事としての音楽がごちゃごちゃにならないようにするには、ネットの利用方法を熟慮する必要がありました。


自分の名前の看板で活動して、それが新たな仕事に繋がれば御の字です。そんな折に受けたベルリン芸術大学の卒業生に向けたソーシャルメディアのワークショップも非常に助けになりました。君たちは十分良い芸術家だから、待つ必要はないという節の言葉にも勇気づけられ、おそらく最後の一押しになりました。自分のしたい芸術をするために燃料は必要です。それを得るための手段としてインターネットを活用する方針です。


以上、書き出すと真面目さが出てなんだかんだ言及してしまいました。これで満足して放置しませんように笑笑


日記: そういえば昨日から家のシャワーが冷水しか出なくなりました。3年住んでて初めてです、春で良かった!ギリシャの人生初めてのマスタークラスで色んな新鮮な経験をして初日の夜温水の出し方が分からず冷水で凍えた経験を思い出しました。